会長挨拶

2008年次稲門会の設立にあたって

早稲田大学という場で在学を同じくした我々の繋がりを年次稲門会という形にするにあたり、早稲田と私たちの関係について、今一度考えてみようと思いました。
仕事上の出会いであっても、早稲田の出身というだけで、一気に距離が縮まる。同期であれば、それはなおさらです。当たり前のようなことであって、これは実はとてつもないことなのだと思います。何故それができるか、それは早稲田大学というものが我々にとって、やはり拠り所の一つだからなのだと思います。同じ場所で喜怒哀楽を曝け出した、そんな原体験が、我々共通の関係性として存在するからではないでしょうか。

しかしながら、こうもまた思うのです。入学から9年、あるいは卒業から5年。
早稲田との距離は多くの人にとって、少しずつではあるものの離れていく一方だったのではないでしょうか。それはある意味で当然であり、また健全なことだと思います。
それは、我々が社会に出てそれぞれの道を進む一方で、「早稲田」は思い出のままで止まっているからなのだと思います。
思い出は美しい。ただ、敢えて言うならば思い出が思い出のままでそこにとどまる限り、新たな価値を生むことはない。とも言えるのではないでしょうか。
我々自身は日々成長をしているでしょうし、社会とともに変化をしています。であるならば、我々の集まりや、関係性であるこの稲門会もそういった、発展的な形としてあるべきです。単なる同窓会としての存在であるならば、1万人を超す多くの人々を巻き込む価値を発揮しきれないでしょう。

かつて、「である」ことと「する」ことの違いについて、議論が交わされた時代がありました。これを我々自身に当てはめるとするならば、2008年次の早大OB・OG「である」という不変の、保障されたものではなく、それを十二分に活用「する」ことに重きを置くべきなのではないでしょうか。つまり、早稲田を財産にとどめることなく、資産として自分たちのために活かしていくことなのだと思います。
母校に貢献する。後輩に還元する。それもたしかに大切なことかもしれませんが、   先ずは自分たちのために、早稲田を利用していいのだと思います。

5年前の集まりよりも今日の、そしてさらに5年後、10年後のこの場の方が、ずっと多様性に富み、また意味のあるものになっているはずです。そして、そこに新たな価値を生むことができるのではないでしょうか。

この年次稲門会という貴重なネットワークを活用し、「互助・互恵・互楽」この3つを柱に、そういった建設的な関係を皆様と築いていければと思います。私たち幹事会は、そうしたお手伝いをする存在でありたく考えております。

2008年次稲門会 会長 島田直樹(政経卒)

02 2月, 2013